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doyoubiのドア(下書き)

場所:東京都杉並区西荻南
規模:ドア
設計:mak(森田夏子+亀田康全)
AD+D:ido(飯田将平+下岡由季)
施工:イノウエインダストリィズ
撮影:mak
HP:https://www.instagram.com/doyoubi_muffin/

■概要
西荻窪のマフィンとスコーンのお店「doyoubi」のドアの改修。よく見ると工夫された既存のドアを(勝手に)引き継ぐ計画。
■課題
お店は2階にあり土曜日だけ開店するため、それ以外の日はシャッターとドアが閉まっている。曜日を問わず人通りの多い商店街で、お店が閉まっていることがネガティブにならないことが課題だった。
■方針
そこで視線を通すためにドアに穴をあけてその空洞に透明なアクリルケースを埋め込むこと、追加で必要なサインを取り付ける改造をすることにした。
■具体的方法
既存のドアは丸パイプの骨組みに防錆処理が施された薄い鉄板を巻きつけるという、ささやかな特徴のある作り方だった。全く新しいものに作り替えてしまうには惜しいと思える工夫が施されていたため、既存のドアの鉄板をくり抜き、窓が付いているドアのようにアクリルケースをはめ込んだ。ただしケースはドアよりも厚みがあるため、上下に取り付けたアクリルの塊を差し込んでボルト締めによって固定している。
また、ペラペラな板を曲げてつくられたドアに応答するように、一枚の帯を丸めて糊付けしたようなドア上部の回転する店名の突き出し看板や、木口に取り付けた板状のOPEN看板など、ドアの開閉で見え方が変化する仕掛けを加えた。
■考察
このお店の宅配便のセットは、マフィンとスコーンが薄いポスターでくるまれて小さな段ボールにパンパンに入って届く。包装は汎用品に少し手を加えることにとどめ、できるだけお菓子の大きさや質を高めたいという気持ちの表れであり、我々もその点に共感してこのような設計になったのだと思う。
このポスター兼包装紙をアクリルケースに掲示すると少し余白が残り、透明で立体的な塊の向こう側が見える。見える先は、ドアが閉まっている時にはシャッターや2階への階段であるし、ドアが開いている時には商店街やドアの内側(断面から見える内部)である。不透視だったドアがいくつもの見通しや重なりを持つようになり、実用的には営業日や店主からのお知らせを伝える箱として振る舞う。お店が閉まっていても店主との交流がある透明な伝言板のようなものになった。最近は販売をお知らせする方法を模索していて、しばらくあれこれ試すことになるだろう。片隅には店主が選んだ鳥の置き物が入っていた。2階のまだ見ぬ店内と店先で出会うための方法とも言えるだろう。
■一般解としての意義
この設計では内装を扱わず、商店街に接するドアを整えることにした。既にそこにあった、街並みに参加していたものを整え続けることで、店主の営みが街並みの時間に参加していくことになるのだと思う。

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